山日記 その2

風もなく穏やかな2日目の朝。

テントから出ると雲ひとつない山がおはようと出迎えてくれました。

のんびりと日の出を待ちます。

刻一刻と空の色が変わっていきます。

ほんの一瞬赤く染まった、穂高連峰、槍ヶ岳。

台風が近づいているなんて信じられないくらい穏やか。

でも山の天気は一変するもの。予報は下り坂。

まだまだ先へ歩いていきたい気持ちをなだめつつ、

朝ご飯をすませてテントをたたんで出発です。


今日山をおりるまで天気は持ってくれそうです。

さあゴールは温泉のある下山口。

 

 

ずっと顔をみせてくれていた槍ヶ岳や、

足元に咲いているコマクサに見送られながらの帰路。
普通はピストンすることのないコースだけど行きと帰りではまた見える景色も違うもの。

まだ夏山シーズンピークのほんの少し前ということと、天気が微妙な境目だったから大人気でごった返すであろうこのエリアを静かにのんびりと歩けた最高の登山でした。

そして待ちにまった下山後の温泉はいつも思わず声がでてしまう程気持ちの良さ。
温泉のそとのベンチで3人で乾杯をして無事ブオリ登山部の旅は幕をとじたのでした。


追記
大人になってから初めて父とテントを背負って歩いた今回の山。
思えば小さな頃からいろいろな山へ連れていってくれた父。
子育てや仕事にひたむきに頑張っていた父が30年ぶりにテントを担いで山に
登りました。

満天の星空の下でほんとうに美味しそうにウィスキーを飲んでいた父。
30年という長い月日が流れて、また同じ山に一緒に立っていました。
そんな私たちを山がこれ以上ないほど穏やか表情で迎えてくれていました。

帰りの車の中で私たちが山へ行くようになって、誘ってもらえなければなかなか一人では行けなかったよ、ありがとうと言ってくれました。

父にとっても私たちにとっても最高の夏の山になりました。

2015.7 vuorentuuli