丸と四角の稜線〜富山孝一

失礼を承知で言えば、富山さんの木の道具たちがここまでかっこいいことを

知らなかった。

 

富山さんとの出逢いは作品からではなく富山さん本人が先だった。

富山さんはとても面白く魅力的な人で私たちはその人柄が大好きだ。

この人といつか何かしたい!と自然に(勝手に?)思っていた。

 

ブオリに富山さんの木の道具たちが届いた。

 

富山さんの木のものを見て知ってはいたけれど、

それはほんの一部だったことを思い知った。

 

その木を手にとり少し息をのんでしまった。

このざわざわする感じ前にもどこかで、、、。


ああ、友人に教えてもらった木の仏像の展示を美術館でみたときだ。

 

その古い仏像は社に奉られる神様という感じではなく、

親しみを感じる木や山のかみさま、といった表情をたたえていた。

 

でもその仏像は確かに木なのに何かを通りこした木だった。

長い時を経た彫りあとは、なんだか気持ちがざわざわする程かっこ良く、

美しかった。美術館だから触れられないけど、とても触りたかった。


富山さんの道具たちはしっとりと滑らかで、

富山さんの手から紡ぎだされた豊かな表情があふれている。

 

その道具たちを触りながら、あの仏像たちも

もしかしたらこんな触り心地かもと思っている。